[Hike VC News]音声コマース市場は4兆円市場へ／デジタルヘルス分野におけるAI投資トレンド／ Element AI・モントリオールAIイベントレポート
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Hike Ventures News Letter Vol.16 (3/15)
先週3月8日（木曜日）に開催した「Night Hike イベント モントリオール・カナダのAIエコシステムとElement AI」は、盛況のうちに終えることができました。ご参加頂いた皆、またご協力頂いた皆様、ありがとうございました！！
以下イベントからいくつかのトピックをご紹介します：
- モントリール大学やマギル大学が長年蓄積してきたリサーチの蓄積、AI研究者の層の厚さが、政府・VC・企業からの資金の流入により花開き世界中から注目が集まっています。以下は、最近のモントリオール関連のニュース(一部トロント含む）です：
2016年
- 10月 Appleが自動運転社用のOS開発部隊をオンタリオ州に設立
- 11月 GoogleがMILA(モントリオール大学、マギル大学の教授陣が研究している）へ資金的サポートを発表。
2017年
- 1月 Microsoftが、AIスタートアップMaluubaを買収。さらに、モントリオールのAIチームを40人から80人に増強することを発表。
- 3月 GoogleがGoogle Brain モントリオールに続き、トロントにも開設。 Google Brain トロントは、Geoffrey Hintonが率いる。
- 6月 AIスタートアップElement AIがSeries Aで102Mを調達。投資家には、Intel Capital, Microsoft Ventures, NVIDIAが含まれる。
- 7月 DeepMindがアラバータ大学近くに初の国外ラボを開設。アルバータ大学教授で強化学習の権威Richard Sutton氏がヘッド。同氏は、DeepMindの最初の外部アドバイザーでもある。
- 9月 FacebookがAI Research Officeをモントリオールに開設。マギル大学 Joelle Pineau（ロボティクス、対話システム）がトップを務める。ニューヨーク、メンローパーク、 パリに続く拠点。モントリオールでも30-40名の研究者を採用予定。
- 9月 Samsungがモントリオール大学内にAI Labを開設
- 深層学習において10年以上の経験を持つ研究者は世界に7000人しかおらず、そのうち6000人はGoogle, Facebook, Microsoftなどの巨大テック企業に勤務している。残りの1000人のうち200人は、Element AIで働いている。
- Element AIは、自社で全てを開発しようとしているわけではなく、同社のAIフレームワーク上で動く沢山のソリューションを集めたプラットホーム「ビジネスネットワーク」を構築しようとしており、パートナーのプロダクトも顧客へ積極的に販売していく。最終的にはネットの巨人たちからスタートアップを守る傘のような存在になりたいという構想を持っています。数ヶ月以内にビジネスパートナープログラムの情報が公開されるようです！
- 現在Element AIは、金融、保険、流通、製造業にフォーカスしている。これらの業種は、大量の時系列データを保持しており、AIのモデルの構築に向いている。
Hike Venturesでは、今後もAIのリーダーとのイベントを開催していきたいと思います！
【お知らせ】
「IoTエコシステム+AI グロバールリサーチレポート 2018年版」の発売を開始しました。
センサー、コネクティビティ、AIチップ、音声・コンピュータビジョンSDKを始めとするIoTエコシステムのコンポーネントからIoT+AIを駆使したサービスまでをカバーしてます。
内容：カオスマップ、スタートアップリスト（165社）、特集記事（30社）
価格：1250ドル（日本円でのお支払いのご希望の場合は info at hikevc.com までご連絡ください。）
詳細は、当社こちらでご覧ください。
【トピック】
ボイスファースト
- 音声によるショッピングが$40B市場へ成長か
OC&C Strategy Consulting社が1500人のスマートスピーカーオーナーに行った調査によると音声によるショッピングが、現在の$2Bから2020年には$40Bに成長すると予想。現在の購入カテゴリは、半分のスマートスピーカーがキッチンに置かれているため、日用品・食料品の買い物が最も多く（20％）、エンタメ（19％）、電気製品（17%）、洋服（8％）が続く。また、Alexaは、ユーザが商品購入時に、要求された商品がユーザの過去の注文履歴にない場合、評価が高くてお買い得な商品’Amazon’s Choice’をお勧めするが、調査によると85％のユーザが、お勧めされた商品を買っている。音声ショッピングにおいては、Amazon’s Choice対応が重要になってくるかもしれない。
モビリティサービス
- トヨタが東京で自動運転研究所（新会社）を開設
新会社名は、Toyota Research Institute-Advanced Development(TRI-AD)で、アイシン精機、デンソーとも協力し、今後数年間で3000億円の投資を行い、1000人まで従業員を増やす予定。ゴールは、市販可能な自動運転車の開発。
- Uberの自動運転トラックによる配送サービスをアリゾナで運用
同社は、トランスファー・ハブという方式を使い、高速道路のみを自動運転トラック(セーフティドライバー同乗)で運搬し、送り主と送付先のラストマイルは、Uber Freightアプリで呼ばれたトラック（人が運転）が配達を行う。ハブで、通常トラックと自動運転トラック間の荷物の積み替えが行われる。
- Waymoもアトランタで自動運転トラックの運用を開始
同社は、アトランタの自社のデータセンター向けの配送に自動運転トラック（セーフティドライバー同乗）の運用を開始すると発表。現段階では、他社の荷物の運搬には言及していない。
ヘルスケア
- RockHealthがAI関連スタートアップの投資活動に関してレポートを発表。
AIヘルスケアスタートアップへの投資は、デジタルヘルスケア全体の10％強で、年々以下のように推移しています。
’RocketHealth The AI/ML use cases investors are betting on in healthcare’参照
特に投資が多いのは、Research & Development Catalystと言われる分野で、創薬や臨床試験の管理などが含まれます。次に続くのは、Population Health Management, Clinical Workflow, Health Benefits Administrationで直接の医療というよりは、医療データを使った分析関連や医療現場のワークフローの最適化など。FDA（アメリカ食品医薬品局）の規制がそれほど厳しくない分野からAIへの投資が積極的に行なわれています。
’RocketHealth The AI/ML use cases investors are betting on in healthcare’参照
ドローン
オーストラリアの研究者が60M上空のドローンから地上の人の生存を確認できる技術を開発
同技術はオーストラリア防衛軍と一緒に開発された。60m上空から地上の人の呼吸と心拍の状況を把握できる。例えば、災害が起こった発生した場合に、上空からの生存者の確認を行ったりできる。ただし、悪用への懸念も。
業界動向
【調達ニュース】
フィンテック
Wecash (China) Series D $160M
スマートフォンのデータを分析し、個人の信用審査を行う。現在1.3億人分の信用データを保有。50以上の金融機関に信用審査サービスを提供している。
ORIX Asia Capital, SEA Groupから調達。
iot
ThoughtWire (Toronto, Canada) Series A $20M
スマートシティ、ビル管理、病院などのファシリティに対して、予測・自動化・省電力化などを行うためのインテリジェンスを与えるプラットホーム。
Yaletown Partners, BDC Capital, Round13 Capital, Epic Capital, Comericaから調達。
Eight (New York, NY) Series B $14M
スマートマットレス。ユーザの心拍や呼吸をモニタリングし、自動で温度調整などを行う。Amazon Alexa等外部サービスとの接続も可能。
Khosla Ventures, Y Combinator and Yunqi Partnersから調達。
エンタープライズ
UiPath (New York, NY) Series B $153M
RPAプラットホーム。700社以上の顧客を持つ。BMW Group, CenturyLink, Dentsu, SMBC, Huaweiなどが顧客。日本にも事務所がある。
Accel, CapitalG, KPCB, Earlybird, Credo Ventures, Seedcampから調達。
Tellius (Reston, VA) Series A $7.5M
企業内のデータを学習し、インテリジェンスデータベースを構築し、社員の様々な質問に回答する。ユーザは自然言語で質問が可能。事業の将来の予測などの機能も持つ。
Veraz Investment から調達。
Luminoso (Cambridge, MA) Series A $12.6M
コールセンターの記録やアンケートなどの大量のテキストデータを分析し、インサイトを提供するプロダクトを開発。13言語に対応。
SD Porter Holdings, Raptor Holdcoから調達。
ボイスファースト
- Voicera (Menlo Park, CA) Series A $13.5M
同社のAIアシスタントEvaが、ミーティングの議事録を作成し、アクションアイテムを自動生成。SalesForce, Slack, Emailとも連携しており、例えばアクションアイテムをSalesForceの特定のアカウント情報に自動で入力することもできる。Zoom, WebEX, Google Hanuout等主要なオンライン会議システムに対応。
e.ventures, with participation from Battery Ventures, GGV Capital, Greycroft, Cisco Investments, GV,Microsoft, Salesforce Ventures, Workday Venturesから調達。
- Voci Technologies (Pittsburgh, PA) Series B $8M
スピーチ・トゥ・テキスト技術。コールセンターやボイスメールの音声を高速にテキスト化。
Grotech Ventures, Harbert Growth Partnersから調達。
ヘルスケア
- Woebot Labs (San Francisco, CA) Series A $8M
認知行動療法に基づいたメンタルヘルス向けチャットボット。チャット形式でユーザに問いかけ、ユーザの現状について理解し、適切なアドバイスを自動で行う。
NEA, AI Fundから調達。
- Eko (San Francisco, CA) Series A $5M
デジタル聴診器。聴診器からの音をデジタルで録画できる。今後は、分析ツールも提供予定。
Artis Ventures, Dreamlt Ventures, 1812 Ventures, Founder.orgから調達。
- Finch Therapeutics (Somerville, MA) Series B $36M
微生物療法のリバースエンジニアリングを行い、治療に貢献した分子を特定。その後、それらの分子が働くのを助ける微生物のコミュニティを作り出すような薬を開発。
Shumway Capital, Willett Advisors, Morgan Noble, Avenir Growth Capitalから調達。
- Atomwise (San Francisco, CA) Series A $45M
深層学習を利用した創薬技術。
Monsanto Growth Ventures, DCVC, B Capital Group, Y Combinator, Khosla, DFJ, Baidu, Tencent, Dolby Family から調達。
- EarlySign (Kfar Malal, Israel) Series B $30M
血液検査や電子カルテの情報を解析し、グループ全体の状態の把握や、特定の人が病気にかかる可能性を予想。
aMoon Fund, Horizon, Nir Kalksteinから調達。
モビリティサービス
- DoorDash (San Francisco, CA) Series D $535M
レストランからのオンデマンドデリバリーサービス。デリバリースタッフのルーティングやユーザへのメニューのレコメンデーションにAIを活用。
SoftBank Group,Sequoia, GIC, Wellcome Trustから調達。
- Starsky Robotics (San Francisco, CA) Series A $16.5M
自動運転トラックテクノロジーを開発。最近7分間の無人運転を実験。
Shasta Ventures等から調達。
AR / コンピュータービジョン
- Upskill (Herndon, VA) Corporate Round $17.2M
エンタープライズ用AR（Skylight）を開発。ボーイングの飛行機工場、Ryderの倉庫、Telstra Network and Construction Servicesで試験的に導入されている。
Accenture and Cisco Investments, Boeing HorizonX, GE Ventures, NEAから調達。
- Robotic Vision Technologies (Silver Spring, MD) Series不明 $10.5M
ロボット用のコンピュータビジョンを開発。トレーニングからテストまで様々なツール群を提供している。
投資家不明
ロボティクス
- Magazino (Munich, Germany) Series A, $24.8M
倉庫内で、個別の商品単位でピッキングができる自立移動型ロボット。
Körber Group, Cellcom, Zalando, Fiege Logisticsから調達。
ドローン
- Airspace Systems (San Francisco) Series A $20M
市販のドローンの2-3倍の速さで飛行し、不信なドローンを捕まえる自動飛行型ドローンを開発。
Singtel Innov8, s28 Capital, Shasta Ventures, Granite Hill Capitalから調達。
コマース
Scalefast (Los Angeles, CA) Series A $8M
オンライン・ストア・ソリューション。パーソナライズ・レコメンデーションでAIを利用している。Sega, Square Enix and Bandai Namcoが顧客。
BGV, Adara Ventures, B&Y等から調達。
ネットワークインフラ
Mist (Cupertino, CA) Series C $46M
企業向けスマートWifiネットワークプロダクトを提供。コントロールシステムはクラウド上に実装。AIを使った最適化、運用の自動化、需要予測を行っている。施設内のロケーションサービスなどのプロダクトも提供。
KPCB, Lightspeed Venture Partners, Norwest Venture Partners, GV, NTT DoCoMo Ventures, Dimension Dataから調達。
Moogsoft (San Francisco, CA) Series D $40M
AI+Ops。アプリやネットワーク間の相関関係や、問題が発生した場合の根本原因の特定などを手伝ってくれる。
Goldman Sachs Growth Equity, HCL, Northgate Capital, Redpoint Ventures, Singtel Innov8, STTelemedia, Wing VCから調達。
農業
- Saturas (Israel) Series A $4M
樹木への水の供給状況をモニタリングするセンサーと、センサーからのデータを分析するソフトウェアを提供。より効果的な散水を支援する。
Hubei Forbon Technology, Gefen Capital, 等から調達。
セキュリティ
- CounterFlow AI (Crozet, VA) Seed $2.7M
セキュリティの脅威を自動で検知し、オペレーターへ報告もしくは脅威を自動で緩和するテクノロジーを開発。
Osage University Partners, Charlottesville Angel Network 等から調達。
- BioCatch (Tel Aviv, Israel) Series B $30M
サイトやアプリ上のユーザの操作（行動）をベースにユーザのバイオメトリクスのプロフィールを構築し、詐欺行為などを防ぐ。
Maverick Ventures, American Express Ventures, NexStar Partners, Kreos Capital, CreditEase, OurCrowd, JANVEST Capitalから調達。
教育
ELSA (San Francisco, CA) Seed $3.2M
ユーザの英語の発音から改善すべきポイントを指摘。毎日短時間のレッスンをしながら改善していく。
Monk’s Hill Venturesから調達。
リーガル
Ascent (Chicago, IL) Series A $6M
企業のコンプライアンス担当者に変わって法律の変更などをモニタリングし、企業の法令準拠を支援する。