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[Hike VC News] 世界で進む医療データのオープン化/自動運転時代のマンマシンインタフェース/バナー広告の効果を顔で上げるAI


Hike Ventures (ハイクベンチャーズ) News Letterのバックナンバーです。
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Hike Ventures News Letter Vol.26 (8/15)

 7月と8月は、医療関連のデータに関する各国の新しい取り組みのニュースが相次ぎました。先進国の共通の悩みは、高齢化による医療費・介護費負担の増加、医療従事者の人手不足などが慢性化していることです。そこで、データとAIを活用した効率的かつ予防を含む能動的な医療への期待が高まっています。

 医療現場における使えるAIを開発するには、医療情報のデジタル化に始まり、蓄積されたデータを標準化し分析可能なデータ量を増やすこと、プライバシーを考慮したデータへのアクセス方法の提供、研究者が使えるAIツールの提供、そして発見されたAIモデルを現場で利用するための医療機関とAI企業との連携が必要になってきます。国や医療領域によって進展はまちまちですが、各国がAIの医療への活用に向けて動いています。

  • 米国立衛生研究所(NIH)がGoogle Cloudと組んでバイオメディカルデータの分析フレームワークのプロジェクトを開始
    本取り組みは、STRIDESイニシアティブの最初のケース。Google Cloudは、リサーチャーが大量のデータを効率よく低価格で利用できるツールを提供していく。
     

  • 米国公生成研究所(NIH)が10,600に及ぶアノテーション付きCTスキャンデータを公開
    プロジェクト名は、Deeplesion。同プロジェクトでは、4,400人の患者の10,600の症例のCTスキャンデータが含まれている。Deeplesionは、32,000以上の病変を保持するように設計されており、肺結節、拡大リンパ節および肝腫瘍などのさまざまな放射線学的所見をカバー。NIHは、2017年に3万人の患者の10万におよびX-Rayの画像も公開している

写真は、PhysicsWorld ‘NIH issues huge database of CT scans for AI testing’ より

  • GlaxoSmithKlineが23andMeに$300Mを投資し創薬における4年間の協業を行うことを発表
    23andMeは、500万人分の遺伝子情報を保有しており、GlaxoSmithKline社は、これらのデータを臨床試験対象者の発見や他の創薬プロセスに利用する
     
  • 日本:厚生労働省、介護データの民間開放を発表
    介護レセプトと要介護認定データの2つのデータで計9億件。9月までに提案を募集し、年内に最初の提携を決める予定。
     
  • 日本:政府が医療データの情報基盤を構築すると発表
    2020年度までにデータ統合の仕組みを作り、「健康・医療・介護情報基盤(仮称)」へデータを移行し、医療機関間でのデータアクセスの共通基盤を作る。

一方で、オーストラリアの国が主導する統一医療データプラットホームであるMy Health Recordでは、保険会社や製薬会社が個人の医療データを買うことができるようになっているという批判を受けています。イギリスのcare.dataプロジェクトは、同様の批判を受けプロジェクトのキャンセルに追い込まれました。医療データは、患者にとって重要な情報であり、プライバシーをおろそかにするとプロジェクト自体の存続に影響します。

【トピックス】

ヘルスケア

  • トロント大学の研究者ががんの放射線治療の計画を立てるのに役立つAIを開発
    咽喉癌患者217人の放射線治療プランニングでアルゴリズム試したところ、従来の人によるプランニングの結果とほぼ同等の結果を得ることができた。また、人の場合は数日かかるところをアルゴリズムは、20分以内にプランニングできた。

リテール

  • Walmartがピックアップサービスの倉庫オペレーションにAlert InnovatioのAlphabotを採用
    Walmartのピックアップサービスは、顧客がWEBで注文した商品をお店にピックアップしにくるというもの。お店を回る時間は惜しいが、デリバリーサービスにお金を支払いたくないユーザに人気のサービス。Walmartでは、現在1800の店舗でピックアップサービスを提供。Alphabotは、ピックアップ専用の倉庫での商品のピッキングに利用される

建設

  • ボストンのゼネコンSuffolkが現場の写真から安全性を確認する技術を開発中
    同社は、過去のスケジュールのデータから工期の遅延などを予測するアルゴリズムやIoTの活用なども視野に入れている。米国の建設業界では、少なくとも20社が過去数年でデータ関連のプロジェクトを立ち上げている。

モビリティ

  • Drive.aiがダラスで自動運転の配車サービスを開始
    同社の車は目立つようにボディがオレンジ色。さらに、歩行者や他のドライバーに向けてディスプレイが搭載されており、’道を横切るまで待っています’等、自動運転車の行動をわかりやすく表示するマン・マシン・インタフェースも搭載している。

写真は、The Verge ‘The self-driving cars hitting the road in Texas today are unlike any we’ve seen before’ より

  • Morgan StanleyがWaymoを$175B(約20兆円)と評価
    内訳は、自動運転タクシー($80B)、ロジスティクス・デリバリー($90B)、ソフトウェアのライセンシング($7B)。ソフトウェアのライセンシングよりも、実際のサービスのほうが圧倒的に高く評価されているのは興味深いですね。

マーケティング

  • ピッツバーグ大学のリサーチャーが広告に利用する最も効果的な顔を生成するアルゴリズムを開発
    同チームは、広告のメッセージやユーザ毎に最適な顔(表情、形、肌色、メガネの有無)などを自動生成するアルゴリズムを開発。将来的には、ユーザ毎に顔写真を瞬時に変更することも可能に。

写真は、TechXplore ‘Using machine learning to generate persuasive faces for ads’より


【調達ニュース】

フィンテック

  • Quantexa (London, UK) Series B $20M
    金融機関向けデータ分析テクノロジー。データからアカウント間の関係性を分析したり、KYC、詐欺行為の発見などを行うことができる。
    Dawn Capital, HSBC, Albion Capitalから調達
     

  • Even Financial (New York, NY) Series A $18.8
    金融商品(銀行口座、住宅ローン、クレジットカード等)とユーザをマッチング。パブリッシャーに対してAPIを提供し、ユーザに最適な商品を提案する。金融機関は、Even Financialと提携しているパブリッシャーから有料な顧客を獲得することができる。
    GreatPoint Ventures, Goldman Sachs等から調達

ヘルスケア

  • Olive (Columbus, OH) Series D $32.8M
    一般のスタッフと同様にEメールアドレスや電子カルテなどのシステムへのログイン情報を与えると、頻繁に発生する反復作業を自動で行ってくれる。
    Oak HC/FT, Ascension Venturesから調達
     

  • SkinVision (Amsterdam, Netherlands) Series B $7.6M
    スマートフォンのカメラで皮膚の気になるスポットの写真をアップロードすると30秒で皮膚ガンの可能性を分析してくれる。可能性が高いとアルゴリズムが判断した場合は、皮膚科医からのアドバイスを受けることもできる。累積ユーザ約120万人。これまでに約15,000の皮膚ガンを特定した。
    LEO Pharma, PHS Fundから調達
     

  • Evidation Health (San Mateo, CA) Series C $30M
    ウェアラブルやIoTから上がってくるユーザの行動や状態に関する’デジタルバイオマーカー’と病気の関連性を分析するプラットホームを提供している。
    SV Health Investors, B Capital Group, GE Ventures, Sanofi Venturesから調達
     

  • Naked Labs (Redwood City, CA) Series A $14M
    体をスキャンする鏡($1,395)とスキャンしたデータを解析。ユーザはアプリを使って体の変化をトラッキングすることができる。
    Founders Fund, NEA, Lumia Capital, Venture 51, Seabed VCから調達

写真は、Naked Labsのホームページから

  • Verana Health (San Francisco, CA)  Series C $30M
    米国中の眼科患者のデータを集め構造化・分析しリアルタイムデータプラットホームを提供。製薬会社の臨床試験や市場調査などに活用する。
    Biomatics Capital, GE Ventures, Lagunita Biosciences, Brook Byersから調達
     

  • Dia Imaging Analysis (Be'er Sheva, HaDarom, Israel) Series A $5M
    医療イメージデータの解析テクノロジーを提供。最初のプロダクトは、心臓のエコー検査(FDA認証済み)。
    Connecticut Innovations, Defta Healthcare, Innovation Authorityから調達

カメラファースト

  • Moviebook (Beijing, China) Series D $200
    ビデオ映像内の人物・オブジェクト認識・トラッキング等のテクノロジーを提供。
    SB China Venture Capital, SenseTime, Qianhai Wutong, PAC Partners, Oriental Pearl Group, Lang Sheng Investmentから調達
     

  • Scale (San Francisco, CA) Series B $18M
    1万人のコントラクターをネットワークし、人力でデータのタグ付け等を行い、AIのトレーニングデータを作成する。主な顧客は自動運転テクノロジーを開発している企業。
    Index, Accel, Y Combinator等から調達

マーケティング

  • Spark Neuro (New York, NY) Series A $13.5M
    脳波センサーとカメラを使い、広告を見ているときのユーザの感情を分析するサービスを提供。
    Thiel Capital等から調達
     

  • Dynamic Yield (New York, NY) Series D $32M
    eコマースのユーザ属性や過去の買い物、サイト内での閲覧情報を元にWEB, モバイル、Eメールなどのカスタマイズを自動で行う。グローバルで200社以上が利用している。
    Viola Growth, Union Tech Venturesから調達

ロボティクス

  • InVia Robotics (Westlake Village, CA) Series B $20M
    Eコマースのフルフィルメントセンター内で働くロボットを提供。ユーザが注文した商品が入っている箱をスタッフまで自動でもってきてくれる。企業は倉庫のインフラに大型の投資をする必要がない。また、同社はロボットを月額費用で提供しているため、初期投資も抑えられる。
    Point 72 Ventures, Upfront Ventures, Embark Venturesから調達

写真は、InVia Roboticsのホームページより。

  • MOV.AI (London, UK) Seed $3M
    ROSと互換性のあるロボットOSを開発。ローカライゼーションやオブジェクト認識などの機能を搭載。
    Viola Ventures, NFXから調達

モビリティ

  • RideOS (San Francisco, CA) Series B $25M
    自動運営タクシー会社のための運営システムと自動運転者向けのWazeを開発。例えば、地図上に反映されていない、工事の情報などを他の自動運転タクシーとも共有し、円滑なナビゲーションをサポートする。
    Next47, Sequoia Capital等から調達
     

  • Kodiak Robotics (Mountain View, CA) Series A $40M
    長距離トラック用の自動運転テクノロジーを開発している。
    Battery Ventures, CRV, Lightspeed Venture Partners, Tuskから調達。Uberに買収された自動運転トラックのスタートアップOttoの元エンジニアが創業。
     

  • Navya (Paris, France) PE Round $34M
    キャンパスや病院などの敷地内を自動走行するシャトルバスを提供。
    European Investment Bankから調達。

写真はnavyaのホームページより。

エンタープライズ

  • Espressive (Santa Clara, CA) Venture Round $23M
    ITヘルプデスクや人事、営業などに関する従業員からの質問を自動で応答してくれるバーチャルサポートアシスタントを提供。
    General Catalyst Partners, Wing VCから調達
     

  • Labelbox (San Francisco, CA) Seed $3.9M
    AI教育用のトレーニングデータの作成と改善を支援するツール群を提供。
    Kleiner Perkins, First Round Capital, Gradient Venturesから調達。
     

  • AntWorks (Singapore) Series A $15M
    企業向けにRPAや意思決定ツールを提供。
    SBI Investmentから調達
     

  • Tianrang (Shanghai, China) Series A $26M
    Alibaba上でのトレンドや購買情報を自動で分析し、eコマース事業者の意思決定に役立てる。
    Gaorong Capital, CMB International, Ziniu Fundから調達
     

  • Domino Data Lab (San Francisco, CA) Series D $40M
    AIモデルのマネージメントシステムを提供。AIモデルはデータやソフトウェアと違う方法で管理・開発していく必要があるという仮説からスタートしている。
    Sequoia Capital, Coatue Managementから調達。

ドローン

  • Xwing (San Francisco, CA) Seed $4M
    自動運転小型飛行機のコントロールシステムを開発。
    Eniac Ventures, GitHub等から調達

ディベロッパー

  • Test.ai (San Francisco, CA) Series A $11M
    アプリの自動テストツール。AIがアプリ画面を理解し、自動でテストシナリオを実行してくれる。
    Gradient Ventures, Zetta Ventures, Uncork Capital, e.venturesから調達

不動産

  • Skyline AI (New York, NY) Series A $18M
    不動産投資家向けのソフトウェアを提供。130に及ぶデータソースの過去50年の物件あたり1万の属性を取得し、将来の賃料や売却価格の予測や投資機会の発見のサポートを行う。
    Sequoia Capital, JLL Spark, TLV Partnersから調達

セキュリティ

  • ZecOps (San Francisco, CA) Seed $3.5M
    ステルスモードのサイバーセキュリティスタートアップ。攻撃者のミスから学習を行うテクノロジーを開発しているようだ。
    KPN Venturesから調達
     

  • RiskSense (Albuquerque, NM) Series B $12M
    企業が保有するIT資産全体のサイバーセキュリティのリスクを査定し、ハッカーが用いる想定されるシナリオを特定。どの脅威から対応していくべきかを提案してくれる。
    Spring Mountain Capital, Night Dragon Security, UL Ventures, Paladin Capital Group, Sun Mountain Capital, EPIC Ventures, Jump Capitalから調達


【買収ニュース】