[Hike VC News]IoTエコシステムを考える/自動運転各社2017年走行成績を発表/MSがメルボルンにAI研究所を開設
Hike Ventures News Letterのバックナンバーです。
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Hike Ventures News Letter Vol.14 (2/15)
今日は、カナダモントリールからトロントへと向かう電車からAIトピックをお送りします!!モントリオールは、AIの今後の動向を考えるにあたって非常に重要な拠点であると改めて感じました。これから訪問するトロントでも、当社のネットワークをさらに深めていきます。
また、3月には、モントリオールを拠点とするAI界のグローバルリーダー Yoshua Bengi 率いるElement AIのメンバーを招いて東京にてイベントを開催(3月8日予定)します。詳細が決まり次第皆様にご連絡致します!
現在弊社では、IoTエコシステム+AIというテーマで調査をし、レポートを作成しております。IoTエコシステムと呼んでいる理由は、IoTを活用した情報システムを構築するには、いくつかのレイヤーにわたるシステムもしくはネットワークを構築する必要があり、各コンポーネントが部分最適化を行いつつ、システム全体が調和のとれた動作をする必要があるからです。このエコシステムの中でAIを有効に活用するためには、どのレイヤーにどのようなデータをどういったフォーマットで保存するのが最適か?そしてどのようなインテリジェンスをどこに置くか?セキュリティをどのように担保するのかといった判断を下す必要があります。
IoTエコシステムにおけるレイヤ
- デバイス/センサー(Things):エコシステムにおいて最も実世界に近いレイヤーで、情報の収集とアクションを起こします。最近では低消費電力のAIチップも開発されてきており、IoT上でAIを稼働させることも可能です。
- ネットワーク(Internet):IoT/センサーから上がってくる情報を、別のデバイス、基地局サーバ、クラウドへ正確に遅延なく伝えるためのレイヤーです。屋外環境や移動中でも正確かつ低価格で情報を流通させるためには、様々なプロトコルやネットワークアーキテクチャ(フォグコンピューティング等)を考慮する必要があります。
- クラウドコンピュータ(Internet):複数の地域に分散する現場の情報収集・モニタリング・コントロールするにはクラウド上で一元管理をするのは、クラウド上にデータとAIを集中配置するのが効率的です。しかしながら、データの粒度とネットワークアーキテクチャ、セキュリティポリシー、プライバシー、コストなどを考えてどれくらいの情報をクラウドへ持ってくる必要があるかを考慮する必要があります。
IoT時代に向けて各社の興味深い動きも始まっています:
- マレーシアがAlibabaのスマートシティプラットホームの採用を発表
プラットホームの名前は、City Brain。2016年に、Alibabaの本社がある中国杭州、2017年にはマカオが採用を決定。City Brainは、交通情報の取得・分析から始めて、都市計画、緊急車の到達時間予測など活用領域を広げていく予定です。
- 5Gアンテナ基地局のミニデータセンター化
米国で2番目に携帯基地局を持つCrown Castleが、5G携帯基地局に設置可能なエッジコンピュータを開発するVapor IOに投資を行い、基地局のエッジデータセンター化を推進していくことを発表。車、ARを含む様々なIoTに対してスピーディに情報を届けることが目的。
- Hike
Venturesレポート第二弾「IoTエコシステム+AI」を2月下旬に発売開始予定IoTエコシスIoTエコシステム+AIレポート2018年版は2月中に販売を開始する予定です 。 レポート内では、 IoTエコシステム( ネットワーク、 センサー、 AIチップ) とそれらのデータを使うAIアプリケーションのリストと具体的な事例をご紹介します。
「サプライチェーンにおけるAIの活用」のレポートも引き続き販売しております!
【トピック】
ボイス
- Amazonがブログを読み上げるWordPressプラグインPollycastを発表男性・女性47種類の音声で24言語に対応。機会学習を使い人に近い感じで読み上げる。日本語も対応している。
- Amazonが独自のAIチップの設計に着手
GoogleやAppleに続きAmazonも独自のAIチップの開発に乗り出す。AmazonのAIチップはAlexaに対応した同社のデバイス(Echo等)がユーザからのシンプルな質問(今何時?)に対してクラウドへ問い合わせなくてもデバイス上で完結するのを可能にし、レスポンスタイムを向上させる。
カメラファースト
- Amazon Echo Lookがユーザ写真上でファッションのレコメンドを開始
全身の写真からユーザが気に入りそうな服を写真上でレコメンドを行う。
モビリティ
ソフトバンクがDiDiとタクシー配車プラットホームを日本で構築全身2018年中に大阪、京都、福岡、東京などで実証実験を行う予定。米国版TechCrunchでは、Uberの日本における立場が微妙になるのでは?といった記事も。
カリフォルニア州で自動運転のテストを一番行った会社は?
各社が、2017年11月末までの12ヶ月の自動運転のテスト結果をDMVへ方向し、データが公表されました。Waymoが最も長い距離テスト運転を行い、手動運転に切り替えなければならないケースが発生するまでの平均走行マイルも、2016年の平均5128マイルから5596マイルに改善されています。GM(Cruise)の同数値は、2016年の235マイルから1254マイルとなり、最も改善が見られたということです。(もちろんカリフォルニア州以外のデータは含まれていませんし、走行する道によっても結果は変わってくると思います)
ラフは、San Francisco Chronicle "Self-driving cars need humans less and less, California data shows"より
Uber, Lyft, Didiが自動運転者の個人所有への反対を表明
都市における未来のモビリティを考える団体Shared Mobility Principles for Livable Cities (Uber, Lyft, Didi, Zipcar, scoot等のライドシェアサービスと世界中の都市が参加)が、事故、渋滞、燃料の無駄を無くすために、自動運転車はライドシェア企業によってのみ運営されるのがベストであると提言。
自動運転トラックのEmbarkが2400マイルの自動走行テストに成功
ロサンゼルスからフロリダまでを5日間で走行。(安全のために同乗しているドライバーの休憩を取る必要があるため) 完全自動運転であれば2日間で移動が可能。2018年末までにはテスト用のトラックの数を今の数台から40台まで増やす予定。
Didiが自動運転の行動テストを行っていることを発表
同社によると2017年には10台の試験車を中国と米国の3都市で試験運転した。
Airbusがシンガポールでドローン配達をデモ
デモでは、同社のSkywaysがメンテナンスセンターから飛び立ち、配送センターで荷物を載せて目的地まで飛んで配達を完了した。数ヶ月後には、シンガポール国立大学内にて2-4Kg以内の荷物の自動配送を行う予定。
AI関連同行
FoxconnがAIのR&Dに今後$340を投資すると発表
AIのトップタレントを100人採用し、Foxconnの工場にAIを導入する。それらがうまくいけば、投資額を最高$10Bまで増やす予定。また、Andrew Ng氏の新しいスタートアップLanding.aiのテクノロジーを工場で活用することにも言及。
- MicrosoftがCortana Intelligence Instituteの設立を発表
同機関は、Microsoft Research, Cortana Research, オーストラリア メルボルン大学 RMITの3者で設立。Cortanaの職場での生産性高上での利用の研究を行う。メルボルンもAIが、熱くなってきましたね。
【調達ニュース】
フィンテック
Apical Technology (San Francisco, CA) Seed 金額不明
AI/機械学習を使ってトレーディングを行うシステムを開発。詳細は不明。
NextWave Venturesから調達。
コンシューマ
Triller (New York, NY) Series A $5M
音楽を選択して、ビデオをアップロード(もしくは撮影)すると自動的にミュージックビデオを作成してくれる。
Carnegie Technologies等から調達。
メディア
Factmata (London, UK) Seed $1MAI + コミュニティの力で、ヘイトスピーチ、政治的に偏った記事、偽の記事などを検知し、コンテンツの質のスコアリングを行う。
Biz Stone, Craig Newmark等から調達。
マーケティング
- Bownstream.ai (San Francisco, CA ) Seed $1.5M
モバイル広告の自動化。自社の顧客のデータをアップロードするとAd Exchange経由でターゲットしたユーザへ広告を配信。広告クリエイティブの作成の自動化も行う。現在ベータテスト中。
London Venture Partners, Olive Tree Capital, Otter Consulting, Gramercy Fund, Ride Ventures, Rising Tide等から調達。
- Attentive (New York, NY) Series A $13Mブランド向けのパーソナライズメッセージ(テキストメッセージ)プラットホーム。商品のおすすめ、安売り情報、カスタマーサービス等々を行う。メッセージの開封率99%、CTR 30%以上の改善させた実績がある。Boxed, AMOREPACIFICなどすでに50社以上が利用している。
Bain Capital Ventures, Eniac Ventures, Next View Venturesから調達。
セキュリティ
- Owl (Palo Alto, CA) Series A $18M
車向けのスマートセキュリティカメラ。走行中の前方の映像と社内の映像を24時間撮影・監視。事故、車上荒らし、駐車中の接触などを記録・通知する。車上荒しを検知した場合は、社内のライトを明るくし泥棒を遠ざける。
defy.vc, Khosla Ventures, Menlo Ventures, Sherpa Capital, Moment Ventures, Maniv Mobility, CSAA Insurance Groupから調達。
トラベル
- Volantio (Atlanta, GA) Seed $2.6M
航空会社がオーバーブッキングした際等に、席を譲ってくれそうな乗客を自動で特定し、メッセージ送信から他の便への予約の変更までを自動化する。
Ingleside Investors, International Airlines Group, JetBlue Technology Ventures, Qantas Venturesから調達。
ボイス
- Pulse Labs (Seattle, WA) Seed $2.5M
ボイスアプリのユーザビリティテストツール。
Madrona Venture Group, Amazon Alexa Fund, Bezos Expeditions, Techstarts Venturesから調達。
ヘルスケア
- Engine Bioscience (Singapore, San Francisco CA) ステージ不明 $10M
大量の実験を並列で行う創薬プラットホーム。
Danhua Venture Capital, 6 Dimensions Capital, WuXi AppTec, EDBI, Pavilion, Vaidu, WI Harper等から調達。
- Rimag (Shenzhen, China) Series B $64M
医療関連の画像データプロセスセンターを運営。
Baidu Ventures, Neovision Capital, Goldman Sachs China, Huayu Rongchuang等から調達。
- Medopad (London, UK) Series A $26M
ウェアラブル等のデバイスから患者のデータを取得。医師は、ダッシュボードでデータを閲覧することが可能。24時間モニタリングを行いアルゴリズムにより患者の危険な兆候を自動検知する。
NWS Holdings等から調達。
- Paige.ai (New York, NY) Series A $25M
医療画像データからがんを発見する。現在、乳がん、前立腺がんに対応。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとの提携を発表し、同センターが持つ2500万の画像データへのアクセスが可能に。
Breyer Capital等から調達。
- Univfy (San Francisco, CA) Series A $6M
体外受精が成功する確率を予想。過去の15万の体外受精のケースと75万の胚のデータを活用してモデルを構築。予測誤差は5%以内。これにより、予測に基づいた費用の設定(予測が80%以上だった場合に、二回目は無料、3回目で失敗したら返金)が可能となる。これまでも、失敗した場合のディスカウント価格設定はあったが、予想が難しいため10-15%のカップルにしか適用されなかった。Univfyを使えば50-80%のカップルに適用可能となる。
Rethink Impact等から調達。
コアAI
- Lightelligence (Boston, MA) Seed $10M
従来の銅経由で電子を送信するのではなく、ナノフォトニクスという技術で光を使って情報を処理する技術を開発。光を使うことによって、高速且つ発熱しなくて、データロスの低いデータ処理が実現可能。
Baidu Ventures等から調達。
- Lightmatter (本社住所不明) Series A $11M
AI向けのフォトニックチップ(電子ではなく光を使用)を開発。Matrix Vector Productのような大量の計算を必要とするAI処理のスピードを飛躍的に向上させる。
Matrix Partners, Spark Capital 等から調達。
エンタープライズ
- Trifacta (San Francisco, CA) Series D $48M
社内に点在するばらばらのデータをクリーンなデータへ変換し分析しやすくする。これまでの実績ではレポート作成にかかる時間を70%削減できている。Google, Linkedin, New York Life, Zurich, Pepsicoなど143カ国、7300社で利用されている。
Google, Ericsson, Deutsche Borse, Accel等から調達。
- Astound (Menlo Park) Series A $11.5M
社内のITサポートの自動化。一般的な質問へ自動回答することにより問い合わせを量を7割削減できる。Salesforce,Atlassianとも連携しており、彼らの製品の最新の機能についても随時学習している。Mcdonalds, Adidasらが顧客。
Vertex Ventures, Pelion Venture Partners, Hive, Slack Fund, Moment Venturesから調達。
- Loris.ai (New York, NY) Seed $2M
自殺願望のある人たちとテキストメッセージで会話し救うNPO Crisis Text Lineからのスピンアウト。Crisis Text Lineは、これまでに12,000人のカウンセラーをトレーニングし、ユーザと6200万のメッセージをやりとりしてきた。これらのデータを使い、企業で発生する難しい話し合いの進行を支援するソフトウェアを開発する。
Floodgate, Jeff Weiner, Kapor Capitalから調達。
- SmartAction (El Segundo, CA) シリーズ不明 $33M
オムニチャネルで利用できるカスタマーセルフサービスプラットホーム。Office Depot, ALDO, Pizza Hut, Hyundaiなどが顧客。
Staley Capital, TVC Capitalから調達。
- Unacast (Norway) Series B $17.5M
モバイルやセンサーが取得したユーザの位置情報のデータベースReal World Graphを提供。
White Star Capital, Telia, Open Ocean Capital 等から調達。
- Ditto (Manchester, UK) Seed £4M
金融、法律、医療のナレッジをAIで学習。AIが出した回答をブロックボックスすにせずになぜこのような回答をしたのかを明らかにすることにより責任のあるモデルの提供を目指す。
IP Group, Parkwalk Advisorsから調達。
リーガル
- Icertis (Bellevue, WA) Series D $50M
契約書管理プラットホーム。契約書を読み取り、リスク分析、支払い等の役務管理、自動通知が可能。
現在500万の契約書を管理しており、90カ国、40言語をサポート。BASF, Kansas City Southern, Lufthansa AirPlus, Sanofi, Wipro, 3M, AbbVie, Airtel, Daimler, Microsoftなどを顧客に持つ。
Meritech Capital Partners, PSP Growth, Cross Creek, B Capital, Ignition, Greycroft, Eight Roadsから調達。
教育
- PackBack (Chicago, Il) Series A $4.2M
学生向けのディスカッションプラットホーム。50校、7万のアクティブな生徒を抱える。
University Ventures等から調達。
アグリテック
- Acquabyte (San Francisco, CA) Seed $3.5M
水中に設置した3Dカメラと各種センサーで魚の養殖場をモニタリング。アルゴリズムにより餌にかかる費用の削減(20-30%)を目指す。現在ノルウェーで実験中。
Costanoa Ventures, NEA, Spark Labs等から調達。
- American Robotics (Boston, MA) Seed $2M
毎日畑を自動飛行し、作物のモニタリングを行う。問題がある作物が見つかった場合は、農家にお知らせをする。
Brain Robotics Capital等から調達。
【買収ニュース】
- Conversicaが会話AIのIntelligensを買収。