[Hike VC News]Alexaとゲーム!?/米国と中国で始まった自動運転配車サービス/フラットアイアン(Flatiron)に学ぶ価値あるAIカンパニーの作り方

[Hike VC News]Alexaとゲーム!?/米国と中国で始まった自動運転配車サービス/フラットアイアン(Flatiron)に学ぶ価値あるAIカンパニーの作り方

Hike Ventures News Letterのバックナンバーです。
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Hike Ventures News Letter Vol.15 (3/1)

スイスを拠点とする時価総額約2兆円($190B)のヘルスケアの巨人Roche(ロッシュ)が、NY拠点のデジタルヘルススタートアップ「Flatiron(以下:フラットアイアン)」を約2200億円($2.1B)で買収しました。フラットアイアンが、ここに至るまでの戦略にはAIプロダクトを作ってスケールさせていく上でいくつかの教訓が含まれているので、ここで紹介したいと思います:

フラットアイアンは、Nat TurnerとZach Weinbergによって2012年に設立されたスタートアップで、会社のビジョンは、”がんに関わるデータを利用しやすい形に構築しなおし、患者、医者、研究者にとって利用しやすくする”ことです。

2014年に、$130Mの資金調達を実施し、クラウドベースのEMR(Electronic Medical Record:電子カルテ)を提供しているAltos Solutionsを買収しました。これにより、1300人のがん専門医に加えて55万人のがん患者のデータが毎年入ってくるプラットホームを手に入れました。(現在同社のEMRを利用しているがん専門医は2500人、診療中のがん患者数は200万人)彼らは、EMRを通して日々入ってくる患者のデータを人とテクノロジーを駆使して、情報の抽出やタグ付けを行い、お医者さんが後でアクセスしたり、同社のアルゴリズムを使って分析しやすくしています。

彼らの主なビジネスは、製薬会社に対して彼らのデータへのアクセスを販売することです。現在臨床試験に参加するがん患者は、全体の5%にすぎません。フラットアイアンのプラットホームを使えば、製薬会社は、残りの95%の患者のデータへもアクセスできます。また臨床試験を行っている患者に関してもフラットアイアンのデータベースへアクセスすれば、ほぼリアルタイムで情報を得ることができます。これにより、製薬会社は、薬開発にかかる時間を大幅に短縮できます。

フラットアイロンがEMRの会社を買収して、データが入ってくる仕組みを構築し、データを整理・タグ付けすることによって参加者全体に対してデータの価値を上げたこと、そして、そのデータに高い価値を見出す顧客にデータを売っていくビジネスモデルを構築したのは、AIカンパニーのお手本的なアプローチです。


【イベント告知】

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3/8(木曜日)開催の ’Night Hike’ 第一回目は、Element AIとケベック在日事務所代表をお招きしてのイベントとなります。おかげさまで多くの方々に登録を頂いております!ご興味のある方は是非お早めに:

Peatixのイベントページ:https://element.peatix.com/


【トピック】

ボイスファースト

  • Alexaに対応したゲームが今年の後半にいくつか販売を開始
    NYで開かれたToy FairでAlexaに対応したゲームがいくつか発表された。Alexaの役割はルールを説明したり、点数をつけたり、質問をしたりといった補助的なもの。以下の写真は、Sensible Objects社が発表したボードゲーム’When in Rome'。
 
 
  • 2020年までにはウェブブラウジングの1/3は声のみになる?
    ガートナーは、ユーザは音声によりサーチをもっと使うようになると予想。そして、それによりユーザがコンピュータの画面を眺めている時間が短縮されたり、職場でAIを多様した予測や業務支援が行われることにより62億時間の生産性の改善が見込まれるとも予想
     
  • IBMとUnityが組んでVR/ARにWatson AIを提供
    利用用途は、ボイスコントロール、コンピュータビジョン、データ最適化、チャットボット等を想定。ディベロッパーは、Unity Asset Storeで無料でSDKをダウンロードできる。

     

モビリティサービス

  • Waymoがアリゾナ州で配車サービス(TNS:Transportation Network Company)の認可を受ける
    Waymoは2017年4月からフェニックスで実験を開始しており、これまでに400万マイルのテスト走行を行っている。特定のエリアでは、Level 4で走行している。Uberが2017年売り上げの72%をドライバーに支払い、$4.5Bの赤字を出していることを考えると、最初から自動運転で配車サービスを始めるWaymonoの展開に注目が集まる。
     
  • Pony.aiが中国で自動運転配車サービスのパイロットを開始
    まずは、広州内の限定的な公道ルートでパイロットを行い、徐々に広げていく。Pony.aiは、設立後1年強で、今回のルートでの試験走行を行ってから3ヶ月程度で一般ユーザを乗せたパイロットを行うというのはかなりスピーディ。今回のパイロットは、中国内の公道で一般のユーザを使った配車サービスでは最初のケースとなる。
     
  • カリフォルニアDMW(陸運局)が公道での完全自動運転車の走行を許可する
    今年の4月より個別企業へ許可を出し始める予定。テスト段階においても、セーフティドライバーの同乗は要求されていないが、リモートでの車両の監視と必要な場合、リモートで人による運転への切り替えができるようにしておく必要がある。Waymoは、去年の11月から無人での自動運転車のテストそう今日をアリゾナ州フェニックスで開始している。
    以下は、自動運転車の試験時に1万マイル(約1万6000Km)走行毎に人がどれくらい関与する必要があるかの時系列グラフ。
 
 
  • Fordはマイアミを自動運転サービスの実験場へ
    同社は、マイアミに自動運転車ターミナルをもうけ、ドミノピザ、ポストメイトとパートナーシップとの動運転車による配送や配車サービスを行う車のメンテナンスやオペレーションを行う拠点とする。現状は、マニュアル運転によるデリバリーを行い、またMiamiの町中のマッピンツを優先的に行い学習を続けている。最終的には、いろんなサービスから自動運転車を呼び出せるターミナルとなる予定。

【調達ニュース】

マーケティング

  • Tinyclues (Paris, France) Series B $18M
    ユーザの過去の注文やサイトのアクセスログを解析して、ユーザが次のキャンペーンにどのような反応をするかを予想。そして、ユーザに対してEメール、SMS、郵便メール、サポートセンターを使い、個別にアプローチするのを支援する。これまでの顧客では49%のキャンペーン売り上げの向上が見られた。Air France, Club Medなど80社の顧客が利用中。
    EQT Ventures, Alven, Elaia Partners, ISAIから調達
     

  • Thirdpresence (Helsinki, Finland) Seed $2.4M
    独自のアルゴリズムを使ってクライアントの広告と親和性の高いアプリやコンテンツを選び動画広告を配信する技術を開発。また、ふさわしくないコンテンツにクライアントの広告が表示されないようにもする。
    EQT Ventures, Inventure,Tesi等から調達
     

フィンテック

  • Anyfin (Stockholm, Sweden) Series A $5.9M
    消費者ローンのリファイナンス。ユーザはローンの支払い書を写真に撮ってアップロードすると、Anyfinが解析し、よりよい条件のローンをオファーし、ユーザが承諾したら借り換え手続きもやってくれる。
    Accel, Northzone, Rocket InternetのGlobal Founders Capital等から調達
     

  • Wealthsimple (Toronto, Canada) ステージ不明 $51M
    個人投資のロボアドバイザー。65,000ユーザ、管理資産合計$1.9B。
    Power Financialから調達
     

リテール

  • AiFi (Santa Clara, CA) Seed $4M
    Amazon Goのような会計レジ不要のシステムを開発。小さい店舗から巨大な店舗まで対応可能。(数万件のSKU、最高500人の同時買い物客)今年の後半にシリコンバレーにてデモ店舗を解説予定。
    StartX, Plug & Play, Greylock, Amino Ventures, Oriza Ventures, CSC Ventures, AngelPlus Ventures等から調達。
     

ゲーム

  • FanAI (Santa Monica, CA) Seed 2.5M
    eSportsに特化したオーディエンス分析プラットホーム。チーム、リーグ、プラットホームが自社のオーディエンスを分析し、効果的な集客、スポンサー誘致活動を行うのを支援する。Cloud9, OpTic Gaming, Overwatch League等が利用している。
    Courtside Ventures, CRCM Ventures, BITKRAFT Esports, BDS, Catalyst Sports, Deep Space, Greycroft GC Trakcker等から調達
     

モビリティサービス

  • May Mobility (Ann Arbor Michigan) Seed $11.5M
    決められらたルートを自動走行するシャトルバスを開発。今年の後半から商業利用開始予定。
    BMW i Ventures, Toyota AI Ventures等から調達
     
  • Anagog (Tel Aviv, Israel) ステージ・金額不明
    スマホのセンサーからユーザの過去と現在の位置や状態を分析し、将来の行動を予想する。また一定数のユーザがいれば駐車場の空き情報の予測なども可能となる。
    Daimler, Mizmaa Venturesから調達
     
  • Aurora (Palo Alto, CA) Series A $90M
    自動運転技術を開発。Google, Uber, Teslaで自動運転技術開発のリーダーをやっていたメンバーが集まって起業。フォルクスワーゲン、Hyundai, Bytonがパートナー。
    Greylock, Index Venturesから調達
     

コンシューマ

  • Molly (San Francisco, CA) Seed $1.5M
    ソーシャルデータを解析し、ユーザのデータベースを構築。その上にAIレイヤーを構築し、例えば、ユーザのお気に入りのレストランやなぜスタートアップを始めたの?といった既に回答済み・公開されている情報を自動で回答。現在は、複数のユーザのプロフィールを構築してテスト中だが、将来的には誰でも自分のプロフィールを構築できるようになる。
    BBG, Betaworks, CrunchFund, Halogen Venturesから調達
     
  • Tunity (New York, NY) Series A $12M
    バーやジムのような騒がしい場所や、病院などのテレビの音量が小さい場所で、スマホでテレビに流れている番組の映像をスキャンし、どのチャネルかを認識。その後、音声のみをスマホに配信するアプリを開発。
    Mack and Adam Neumann, MGM Resorts Internationalから調達
     

エンタープライズ

  • Re:infer (London, UK) Seed $3.5M
    Eメール、電話、ログデータ、ソーシャルデータなどの非構造化データを構造化、タグ付けを行う。FARFETCHなどが顧客。
    Touchstone Innovations, Crane Ventures, Seedcamp, Jaspn Kingdon等から調達。
     
  • StatusToday (London, UK) Seed $3.9M
    MS OutlookやG Suiteなどの社内ツールから従業員のコミュニケーション/アクテビィティ情報なを取得し、社内の状況やリスクなどをのインサイトを提供。
    LocalGlobe, Notion Capital, Firstminute capitalから調達
     
  • Agent IQ (San Francisco, CA ) Series A $6.3M
    カスタマーサポート向けのチャットボット。よく聞かれる質問への自動応答を行う。それ以外の質問に関してはコールセンター従業員に対して最適な回答の提案を行う。P&G, Samsung, Walgreensなど14の大口顧客持つ。
    Sierra Ventures, CRCM, Rubicon Venturesから調達
     
  • SparkCognition (Austin, TX) Series B $56M
    ガス・石油・電力などのエネルギー産業、製造業、金融業、宇宙産業、国防、セキュリティ等の業界に対してインテリジェンスを提供する。
    Verizon Ventures, Boeing Horizon X, CME, Brevan Howard Investment, Invenergy Future, Cisco 等から調達
     

サプライチェーン

  • FourKites (Chicago, Il) Series B $35M
    荷物の位置をリアルタイムでモニタリングし、到着時刻を予想するプラットホーム。Kraft Heinzでは、FourKitesを導入した後、オンタイムのデリバリー率が50%半ばから75-80%へ改善した。BestBuy, キャタピラー、Nestle, STAPLES, MICHELIN等顧客多数。
    August Capital, Bain Capital Ventures, Hyde Park Venture Partnersから調達


フィンテック

  • Anyfin (Stockholm, Sweden) Series A $5.9M
    消費者ローンのリファイナンス。ユーザはローンの支払い書を写真に撮ってアップロードすると、Anyfinが解析し、よりよい条件のローンをオファーし、ユーザが承諾したら借り換え手続きもやってくれる。
    Accel, Northzone, Rocket InternetのGlobal Founders Capital等から調達
     
  • Wealthsimple (Toronto, Canada) ステージ不明 $51M
    個人投資のロボアドバイザー。65,000ユーザ、管理資産合計$1.9B。
    Power Financialから調達

ヘルスケア

  • Cota Healthcare (New York, NY) Series C $40M
    EHRからユーザの情報を収集し、構造化と分類を行い、患者ごとの治療に関する情報やコストの予想などを行う。
    IQVA, EW Healthcare Partners等から調達。
     

  • Spring Discovery (Palo Alto, CA) Seed $4.25M
    老化を遅らせたり、老化にまつわる疾病に対する治療方法の発見を加速させる技術を開発。
    General Catalyst, First Round, Sam Altman, Longevity Fund, Sea Lane等から調達


ロボティクス

  • CommonSense Robotics (Tel Aviv, Israel) Series A $20M
    スーパーマーケットの空きスペースをマイクロ・フルフィルメントセンターとして利用し、ロボットによる在庫管理とパッキングを行い、短時間での注文→デリバリーを可能とする。
    Playground Global, Aleph VC, Innovation Endeavorsから調達
     
  • Miso Robotics (Pasadena, CA) Series B $10M
    調理アシスタントロボット。
    Acacia Research Corporation, Levy等から調達
     

IoT

  • ZEBEDA (Santa Clara, CA) Seed $3.
    エッジコンピュータ上で稼働するリアルタイムアプリ向けのプラットホームを開発。Wild West Capital, Almaz Capital, Barton Capital等から調達


コアAI

  • Prophesee (Paris, France) Series B $19M
    神経形態学的エンジニアリングを使うことにより、これまでの標準的な技術と比較して10-1000倍少ないデータ量、10mW以下の消費電力で、10,000FPSを処理できるコンピュータビジョンを開発。
    360 Capital Partners, Supernova Invest, iBionext, Intel Capital, Renault Group, Robert Bosch Venture Capitalから調達
     
  • Skelter Labs (Seoul, South Korea) ステージ不明 $9M
    AIコアテクノロジの開発。応用エリアとしては、会話型AI、会話・画像認識Deep Learning、コンテクスト認識を得意とする。今回のラウンド後、グローバル展開を目指す。
    Kakao, Stonebridge Ventures等から調達
     
  • Feature Labs (Boston, MA) Seed $1.5M
    生データを読み込み、機械学習処理がしやすい形に変換。また、データにあった機械学習のモデルもレコメンドする。NASA, Monsanto, KOHL’S, SAPなどが顧客。
    Flybridge Capital Partners, First Star Ventures, 122 West Venturesから調達
     

セキュリティ

  • CounterFlow AI (Crozet, VA) Seed $2.7M
    セキュリティの脅威を自動で検知し、オペレーターへ報告もしくは脅威を自動で緩和するテクノロジーを開発。
    Osage University Partners, Charlottesville Angel Network 等から調達。
     
  • Vectra (San Jose, CA) Series D $36M
    セキュリティ脅威の自動検知。SOC (Security Operation Center)の負荷を29分の1に減らした実績がある。
    The Ireland Strategic Investment Fund I, Nissho Electronics, Khosla, Accessl, IA, AME Clould等から調達。


HR

  • Uncommon.co (Palo Alto, CA) Series A $18M
    人材募集要項をアップロードすると、様々な求職サイトを利用して最適な候補者を探してきてくれる。候補者を探すクライテリアは、スキル・経験・フィット感・求職者のキャリアパス。Amazon, Aflac, Google, Etsy, GAP, Lyftなどが顧客。
    Canaan, Spark, Zeevなどから調達。


ディベロッパー

  • Mabl (Boston, MA) Series A $10M
    ファンクションテストの自動化。テストシナリオを教えるだけでテストを実行。ディベロッパーはテスト用のスクリプトを記述する必要がない。また、本番環境を常時モニタリングし、エラーがあった場合は通知を行う。
    CRV, Amplify Partnersから調達


ドローン

  • Skydio (Redwood City, CA) Series B $42M
    ユーザを自動追跡しながら撮影するドローンを開発。NVIDIAのGPUも搭載し、障害物を避けながら飛行。撮影位置などはモード設定で切り替えが可能。一台2,499ドル。
    IVP, Playground, Accel, NVIDIA等から調達


【買収ニュース】